皆さんは「屋形船(やかたぶね)」に乗ったことはありますか?
東京だけでも約60もの船宿(ふなやど…屋形船を保有して運航営業している会社のこと)があり、日本全国でも屋形船による観光周遊が盛んに行われています。
屋形船のイメージは?というと、私たちはどうしても「日本に昔からある和風な船」と思ってしまいがちですが(現代の屋形船は近代的にモデルチェンジを遂げています!こちらの記事で詳しくご紹介します!)海外からのお客さまが「屋形船」をみると?
「船にも乗れて、まわりの風景を楽しみながらおいしい和食をいただくことができるなんて!」
と、まさに日本文化を体験できるとかなりエキサイティングされるようです。
外国人向けのガイドブックにも屋形船は多く紹介され、世界各国から乗船に訪れるお客様が増え続けています。
中には「屋形船で結婚式を挙げたい」とわざわざ来日されたり、「新婚旅行で来ました」なんてお客様もおられるのだそう。
海外のお客様にこれだけ人気となっている理由の一つに、実は20年以上にわたり英語で屋形船をガイドし続けている船頭さん(英語では「steward」「stewardess」客船・列車・飛行機・バスの乗客係、女性乗客係と表します)の存在があるようなのです。
今回は、20年以上にわたって屋形船を英語でガイドし続けている船宿「晴海屋(はるみや)」さんに全面協力をいただき(ありがとうございます!)、外国人観光客に人気の周遊コースや、船内で行われる人気のプログラムについて詳しくお話を伺いました!
屋形船を英語で説明すると?
ではまず、「屋形船」を英語で説明すると?なんと表現するのが一番わかりやすいでしょうか?
外国人向けのガイドブックを詳しく見てみると、実にさまざまな言葉で「屋形船」が紹介されていました。
「’YAKATABUNE’ Traditional Cruising Japanese Style」
「floating high-class Japanese restaurant, Edomae Yakatabune」
「roofed tresure boat」
「Japanese Old-fasioned House boat」
直訳すると、「日本の伝統的な観光(巡行)船」「海に浮かぶ高級な日本レストラン」「屋根のついた観光船」などなど…。
どれも実にわかりやすく表現されています。
外国から来られたお客様に屋形船を案内するには、まず「屋形船」に詳しくなければいけませんね。
ちょっとご紹介していきましょう。
屋形船とは?
屋形船は日本に古くからある屋根付きの客船で、10名から乗れる小さなタイプから、大型になると140名ものお客様を乘せることができる豪華な船まで取り揃えられています。
屋形船の運航は「貸切」と、他のお客様と一緒に乗船する「乗合い」の2タイプが主となります。
遊覧コースは、常時周遊している「スタンダードコース」のほか、季節ごとに春のお花見や夏の花火を鑑賞できる「特別コース」なども運航されています。
屋形船の船内は、かつての「赤ちょうちんのついた、畳敷きに正座して乗船する」古風なタイプばかりではなく、今では「冷暖房完備」「トイレは洋式でウォシュレット付き」「カラオケ」や「大型プロンプター」も常設されるなど、近代的で最新鋭にモデルチェンジしてきています。
また、座敷は畳敷きではありますが「掘りごたつ」や「椅子スタイル」となっている船内も多く、「座る」スタイルの乗船が多くなってきているのも特徴です。
かつては水質の悪化などにより屋形船の文化そのものが一時、衰退の一途を辿った時期もありました。
しかし船宿の懸命な努力の結果、見事に復活を遂げて現代にもその文化が息づいています。
外国人を屋形船に案内するとしたら?
近年、屋形船を訪れる外国人は、アメリカやヨーロッパはもちろん、アジア圏からのお客様も増えていてますます外国語の需要も高まってきているようです。
20年以上も前から「英語」でのガイドをし始めた船宿「晴海屋」さんには、英語でガイドできる船頭さんが常時数名いらして、中にはVIPともよばれる要人を数多く担当しているベテラン船頭さんもいるのだそうです。
晴海屋さんに、外国のお客様に特に喜ばれるメニューやプログラムについて詳しく教えていただきました。
外国人に人気の、屋形船周遊スポット
「外国人に喜ばれる周遊コースのひとつは、レインボーブリッジの下を通る「お台場/スカイツリーコース」です。
晴海乗船場からレインボーブリッジに向かってお台場、そして隅田川・清洲橋付近を周遊するコースとなります」。
晴海屋さんではお台場付近で一時停泊し、お客様をデッキ部分(屋形船の屋根部分)に案内して夜景をバックに記念撮影タイムを設けています。
「とても思い出深い光景になった!」と皆が感激されるのだとか。
コース中に東京タワーやスカイツリーが見えてくると、外国人のお客様からは「あれは何?」との質問が必ずあるそう。
その際は、観光スポットの歴史までご案内をしてくれるんです。
「海外のお客様は、私どものガイドを真剣に聞いてくださるように感じて大変うれしく思っています。」
また、季節ごとに四季の移ろいも船上で感じてもらおうと、季節限定の特別コースを用意しているそう!
例えば、春は桜の名所である『墨堤千本桜(隅田川に架かる吾妻橋~桜橋のあいだ、約1キロにわたってソメイヨシノやシダレザクラが咲き乱れる)』エリアを案内してくれます。
屋形船から眺める満開の桜は、まさに格別でしょうね!
海外からのお客さまに大人気の「船内での過ごし方」
船内ではどのように過ごしているのでしょうか?
まずは「靴を脱ぐ」ジャパニーズスタイルから始まり、和室に掘りごたつを見て「ジャパニーズスタイル」を体感してもらうことができます。
正座に慣れていない外国のお客様でも、「掘りごたつ」なら、椅子に座るようにくつろげると好評を得ているようです。
船内では季節の移ろいを眺めながら和食を楽しむほか、オプションプログラムとして芸者さんや振袖さん(浅草を舞台に、白塗りに日本髪、華やかな振袖姿で宴を楽しませてくれる、京都の舞妓さんのような存在)を呼ぶこともでき(貸切屋形船のみ)、普段は経験できない貴重な体験も人気を博しています。
オプションプログラムには、今は懐かしい「南京玉すだれ」や「獅子舞」を披露する芸人さんもラインナップされ、ステージに飛び入り参加させてくれる演出も!
国境を越えた芸でのスキンシップに船内は一瞬にして笑いに包まれるのだそうです。
外国客に人気の、屋形船のお食事メニュー
外国のお客様となると、嗜好や宗教上の理由からビーフやポークなどの肉が食べられないといった「食の問題」が発生することも少なくありません。
晴海屋さんでは希望があれば常時、「ベジタリアンメニュー」を用意して対応しているとのことです。
ほかにも、天ぷらなど懐石メニューの食べ方を知らない外国にお客さまには、実際にデモンストレーションして楽しんで食してもらえるようにと、工夫してガイドされています。
「例えば天ぷらのおいしさを一層引き立てる「天つゆや薬味」の存在も、外国の方は初めて目にすることも多くあります。
その場合は食べ方をお教えする際も一つのエンターテインメントのように、楽しくデモンストレーションするように心掛けています。
そうすることで、日本食をより身近に感じてもらえればと思うのです。」
一生忘れられない思い出をぜひ!
今回、取材させていただいた英語対応可能な「船宿 晴海屋」さんでは、なんと134人も乗客できる「日本最大級」の屋形船「白鷺号」が就航!
内装も大理石や楢材を使用するなど、細部にわたって「純ジャパニーズスタイル」を感じることができる豪華な造りとなっています。
はるばる日本を訪れたお客様をおもてなしするに、屋形船での150分はきっと一生心に残る体験となるに違いありません。
まずは次のお休みに、家族みなさんでぜひ「屋形船」での旅に出かけてみませんか?
取材協力:晴海屋
東京都江東区東砂6-17-12
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