屋形船に乗る前に裏浅草を歩く(1)「あしたのジョー」の町・山谷辺りをぶらぶら

下町の風景

南千住駅日口

南千住駅西口からスタート

東京・浅草で屋形船に乗る前にちょっと街歩き。今回は「裏浅草」と呼ばれる吉原街歩きを4回に渡りご紹介します。

1回目は、旦那衆が吉原へ繰り出す前に、腹ごしらえをしたといわれる山谷の町。東京観光の新名所、スカイツリーまで約2㎞ほどのところにあります。

いわゆる「ドヤ街」ともいわれていた山谷は、最近では「あしたのジョー」の町といえばとおりがいいかもしれません。

南千住の駅を降りて、さっそく山谷エリアへの入り口、泪橋に向かいましょう。

南千住に残る江戸時代のダークサイド「小塚原処刑場」と回向院

と、その前にちょっと寄り道解説。

南千住には江戸時代の三大刑場の一つ「小塚原処刑場」がありました。残り2つは東海道沿いにあった「鈴ヶ森刑場(品川区南大井」と八王子にある「大和田刑場」です。

「小塚原処刑場」では、小伝馬町老屋敷とともにいわゆる「腑分け」が行われたことでも有名。杉田玄白の「解体新書」誕生に貢献したといわれています。

ここで処刑された死者の埋葬と供養を行うため建てられた常行堂。その後、南千住回向院と名前を変え、現在もここにあります。

南千住にある回向院

安政の大獄で処刑された橋本左内、吉田松陰らもここで埋葬されたそうですが、高杉晋作、伊藤博文らが世田谷にある松陰神社へ改葬。回向院には現在、墓石だけが残されているそうです。

いまやバックパッカーたちに人気のドヤ街「山谷(さんや)」へ

泪橋交差点のあたり南千住駅から吉野通り(都道464号線)を南へ向かうと泪橋の交差点に到着します。ここは荒川区と台東区の境目。橋と名が付く交差点ですが、川は暗渠化されており、普通の交差点になっています。

山谷は地名としては残っておらず、日本堤や三ノ輪2丁目、清川2丁目、東浅草2丁目界隈がそのエリアに相当します。

この「泪橋」ですが、アニメ「あしたのジョー」で主人公の矢吹丈が所属していたボクシングジム「丹下拳闘クラブ」があった場所として有名(若い人は知らないよね)。

それゆえ、日本堤にあるいろは会商店街では、「ジョーのいた街」として町おこしをしていました。私が訪れたときはまだ商店街の中にそこかしこにその面影が感じられました。

写真ではまだアーケードがありますが、2017年に撤去されてしまいました。

いろは商店街

山谷地区は、日本の高度成長期時代を支えた日雇い労働者の町。大阪のあいりん地区、横浜の寿町と並び、日本三大ドヤ街と呼ばれていました。

「ドヤ」とは「宿(ヤド)」をさかさまにしたことばだそうで、超ブラック仕事を請け負う人々が、雨風をしのぐための簡易宿所が立ち並ぶエリア。

それがどうでしょう!

現在は、東京スカイツリーや浅草にも近いことから、これらの簡易宿所がバックパッカー向けの安宿として人気だそうです。

パン屋さんも休み

訪れたのがGWのど真ん中だったんで、商店街の中は閑散としてましたが、孤独のグルメでも紹介された定食屋さんもあり、都心のど真ん中で3,000前後と格安滞在できるのは魅力的なようです。

ところで「泪橋」の名前の由来ですが、罪人が牢を出て、小塚原処刑場へと連れていかれるときに渡った橋。家族が最後にその姿を見送り、ひっそりと涙を流したことからその名がついたといわれています。

吉原遊郭へ売られてい行く女性たちも、故郷を思い、この橋の上で涙を流したのかもしれません。

江戸時代の治水対策として生まれた堤防「日本堤」

いろは商店街を抜けると日本堤「土手通り」に出ます。

土手通りではあしたのジョーがお出迎え

山谷地区を振り返るあしたのジョーの像がおりまする。

この日本堤は現在地名だけが残っており、もともとは江戸時代に荒川などの治水事業の一環として築かれた堤防だったそう。三ノ輪駅あたりから、現在の隅田川の今戸周辺にかけてつくられました。

明暦の大火以降、この土手の南側に吉原遊郭(新吉原)が引っ越してきて、遊びに通う江戸っ子たちで賑わったといいます(別名吉原堤と呼ぶ場合も)。

この吉原の北側にあるのが山谷堀。神田川や日本橋界隈から旦那衆が仕立てた猪牙舟に乗り、通ったわけです。

関東大震災の後、堤は壊され、現在では「土手通り」という名前だけが残っています。

吉原へ通う旦那衆が腹ごしらえしたお店

土手の伊勢谷

土手通りにある遊郭入り口の大門近くにある有名なお店。

ひとつは「桜なべ中江」、もう一つは「土手の伊勢屋」です。

「桜なべ中江」は明治20年(1887年)開業で、「土手の中江」ともいわれてきました。馬力がつくと愛された桜鍋は遊郭名物となり、初代店主がはじめてコクのある味噌だれを考案したといわれています。

建物は国指定登録「有形文化財」に指定。ここの常連だった武者小路実篤氏の書も飾られてるそうですよ。

「土手の伊勢屋」は明治22年創業。1990年に穴子を取り入れたメニューができ、新鮮なまま提供できるよう専用の水槽を設置して話題になりました。

建物は登録有形文化財に認定。鮮度の良いネタをごま油とコーン油を独自にブレンドした揚げ油でサクサクに仕上げています。

屋形船に乗る前だと、こちらでお食事してしまうとせっかくのご馳走が食べられません。別の機会に楽しみましょう。ああ、残念。

さて次回はいよいよ吉原へ。当時の面影をたどりながら、江戸時代の賑わいを感じる街歩きをご一緒に楽しんでくださいね。

▼ 東京・浅草周辺の屋形船

■今回街歩きしたスポット

 

●山谷地区・いろは会商店街
住所:東京都台東区日本堤1丁目18−7
アクセス:JR「南千住駅」より徒歩約11分

●「桜なべ 中江」
営業時間:平日17時~21時30分ラストオーダー、土日祝11時30分~20時30分ラストオーダー、月曜休み(祝日は営業)
電話:03‐3872‐5398
住所:東京都台東区 日本堤1丁目9−2
●「土手の伊勢屋」
営業時間:11時~14時30分、水曜、第4火曜休み
電話:03‐3872‐4886
住所:東京都 台東区日本堤1丁目9−2
アクセス:東京メトロ日比谷線「三ノ輪駅」3番出口より徒歩約9分、「南千住駅」から徒歩約15分、台東区循環バス「めぐりん」で「吉原大門」下車すぐ
※中江と伊勢屋は並んで建っています。

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